大月-三原行(2)

Iryo2008-10-18

ラニングにしろデザインにしろ,相手にする土地と向き合うとき,いろんな人と話すことで,その土地の輪郭がだんだんくっきりしてくることがある.自分の思惑を押し付けるのではなく,目の前の人を媒介項として,寧ろその土地自身が語らせているのではないか.そう思うほど,生々しい言葉がある.尤もらしい数値でも作文でもなく,そういう対話を通してはじめてその土地を理解するための端緒がえられるように思う.

人から発せられた言葉のひとつひとつが果たしてどこからやってきたものなのか.そしてあるいはまもなく消えていくものなのか.表面だけの言葉なのか,積み重ねた行動の果てにようやく出たものなのか.こんなにまでも快適なこの地上ではあるけれど,どこかに苦しげで喘ぎながら,精一杯現実と対峙するように生きているものがこの風景の中に在ることを知る.

月光桜から弦場の森へ出て,栴檀の木まで歩いた.鬱蒼とした弦場の森の頂上にはウバメガシの巨木があるが,森の中で迷い辿り着けなかった.植樹を拒んだ原生林に雨が降る.森は栄養分を海へ注ぐ.