目黒 風景歩き

Iryo2008-05-12

愛媛県松野町の目黒で子供たちや地元の方々と風景歩きをしてきました.

3回目ですが今日は快晴でした.いつきても目黒の風景は落ち着きますが,たいてい雨が降ることが多くて,雨の中を合羽を着て歩いたりするのも嫌いではないのですが,今回は子供たちの案内で集落の中を案内してもらいました.

お茶の葉っぱを庭先でもいで,手でやわらかく揉み,2日ほど干すと美味しいお茶ができるそうです.子供たちと一緒に教えてもらいました.わりと紅茶とか,お茶はいいものというか香りのよいものを選んで飲むとほうなのですが,自分の庭で手で摘んで,揉んで干して淹れるというのはいいなあ.豊かだなあ,と思います.

自分の手で選んだものを食したり飲んだりという場合,デパートよりは市場,市場よりは産地,生産地に近いところほど美味しく感じます.

よい酒は旅をしない.という諺があります.以前英国で働いていた頃,スコッチを蒸留所をよくまわっていました.スコッチは蒸留の過程で水だけでなくピート(泥炭)とよばれる地元の土塊の匂いがつくことで独特の風味が生まれます.スコッチの島として有名なアイラ島で一日中島を歩いて,島のにおいをずっと嗅いだあとで,そのへんでとれた牡蠣をにラガブーリンに入れて食したりして,地元の人ととりとめない話をするのはすばらしい経験でした.

culture の語源となるラテン語の動詞 colere は「住む,耕す,祈る」の三つの意味をもっています.この世にあっては,耕し,人間の限界に直面したときは祈るほかない.というような意味です.agriの語源は土地なので,agri-cultureは土地に固有の文化そのものを耕す営みを示しています.

みんなと一緒に風景歩きをしたり,蛍を見たり,田植えをしたり,校庭の掃除をしたり,それから利明さんの家でお酒を飲んだり,漬物をたべたり,お茶を飲んだり.そういうのは人間として当たり前の行為だとおもうのです.

その土地に住んで,その土地を歩き,その土地の空気や水や土塊から生まれたものを食す.あるいはそれに何かをあうものをみつけて掛け合わせてみる.そして土地の人とゆっくり話す.そういうことはとても豊かなことだと思いました.