三原村 土地神さま

Iryo2008-04-20

三原村を歩いていて,深い藍色の目をした蛇をみつけた.この土地の土地神さまはさしずめ蛇かな.と思ってみたりしたが,どうだろう.そういえば宮崎さんの「もののけ姫」はたたら製鉄による自然破壊の物語だが,背景を描きこむ監督として昔から知られた彼の描くあの森の美しさは,日本古来の森が持つ(英国の10倍,米国の20倍の植物種が日本の森にはいるという)多様性によるところも大きいのではないかと思う.土地には土地の多様な種が存在し,その場所ごとに象徴的な『シシ神』のような神がいるという物語の読み込みがあるのだろう.

緑の萌えてくるこの季節に緑の中を歩けば,藍緑色に萌黄色に浅葱色.これほどまでにたくさんの『緑』という色があったのかと驚かされる.それはさまざまな萌える木々や植物の種類の数だけ色が存在するということでもあるし,光の当たる加減や風のそよぎ方,水や土地の栄養分によってもさまざまな色を見せているということかもしれない.沖縄の竹富島の海にいくと,こんなにたくさんの色があったのか思うが,ああいう感覚に近い.
幾重にも広がる緑のすばらしさ.柿の木の青葉は柔らかくもいで手で揉めばそのまま茶葉に.ヤブ椿の濃い緑と道に落ちた厚ぼったく濃い赤が目につく.畦道脇では紫の小さな鷺苔,黄色のキジムシロが花をそえ,山菜のイタドリにわらびが路地にたくさん群生している.歩いているうちにケヤキとコナラの緑が幾重にも重なり,その向こうには大根の白い花が山茶花のかわりに白い花を咲かせている.

ユキモチソウにヤマブキ,タニギキョウにツワブキ,ウバユリ.足元の緑にタチツボスミレとシュンランが花をそえ,目に美しくて多様でもあるけれど,落花した花に上を見あげると,メンツツジの群生が広がっていて,なんともいえず青い空に生える.

ヒメハギ,マメツタ,オモトにイノデ,シホウチク.カギドオシ.向こうには橡に柿,手前にイヌシデ,メンツツジオナガアゲハが羽ばたいてとまり蜜を吸う.ハゼにトキワアケビ,薄い緑がグラデーションを見せながら重なりあい,光と風の加減でゆれ続ける.

こんなにたくさんの緑の色が萌えていく様を,ありありと認識され,そういうことは久しぶりで,本当に感動した.山歩きが小さい頃好きだったのは,爺様の影響だけど,どこか懐かしく思い出したりもした.
次回は10月.竹田さんや矢野さんたちと木の実を拾って椿油山茶花油をつくりたい.