リノベーション(フランスの場合)

先週まで欧州をあちこち回っていましたのですが,リノベーション(旧い建物を目的に合わせて大幅に改修して目的を代えて再利用すること)型の施設が多いことに改めて気づきました.


ここはパリのバスチーユ傍の鉄道高架のリノベーションの例です.下に職人さん系のおもしろい店をいれて上は野趣あふれる植栽を生かした遊歩道を組み合わせています.終点までいくと幼稚園と芝の広場が広がっており,印象的な歩行者専用の木のブリッジがあります.


こちらはベルシー地区です.フランスにはZAC(Zone d'Amenagement Concrete)と呼ばれる整備協議地区制度があって,ここはZACの指定を受けて周辺の既存のコンテキストと離れて特別な利用形態をもった区域として新たなゾーニングが行われ,ワインの倉庫を改良して公園と一体整備された地域の例です(公園も相当いいです).鉄道の線路と敷石も生かして,雰囲気のいい店や写真を展示しているスペースなどが,なかなかよかったです.

日本にももちろんこういう例はあるのですが,東京は東京大空襲でかなりの施設が焼けてしまいましたし,何より地価が高いものですから,リノベするくらいなら兎に角高度利用という圧があるように思います.一方地方に目を向けてみると農家の納屋や蔵といったうまくリノベーションすればおもしろいものは結構あるような気がします.前回の四万十風景街道の集まりの際に田舎は夜がさびしいという話が出たのですが,上の写真のような例とは少し違うかもしれませんが,見方を変えればいろいろ可能性があるのかもしれません.

三原村の農家レストランなどはその例でしょうし,それは別に観光客の人のためだけではなくて,フランスの例もリノベーションした倉庫のレストランを使っているのは近隣住居の人々だったりするので,少しは外部の目も意識しながらうまく循環していくような仕組みが組み立てられると楽しい生活景が田舎でも展開していけるような気がしました.