バルセロナ行(4)

Iryo2008-09-09

会議はずっと続く.ドイツ人のグループの研究はハードコンピューティングな話が多くてとても好きだな.日本では少ないけれど,力技で実装してどうにかするというのは大切なことだ.最後までやってみなければわからないことは多いように思う.見習うべきだと思った.

行動モデルというのは,入力変数として空間-環境-情報条件をいれた場合に,出力変数として行動結果の値を出力するものだ.こう書いてしまうと味もそっけもないが,深夜何度もパラメータ推定を繰り返しているうちにだんだんと,行動と空間の不安定な関係性が姿を顕してくる.そういうことの積み重ねによって人と空間の関係性をより深く理解し,移動空間を再構築していける可能性を感じおもしろいと思ったのだ.

行動モデル研究が空間と人の間の関係性の「理解」を基本したものだとすれば,デザインの本質は(その行為を先鋭化させていくほどに)その先にある「表現」に関わる行為といえる.クリストファー・アレグザンダーは数理研究から空間デザインに向かい,パターンランゲージという緩やかで普遍的な型,すなわち「モデル」を得ることで空間デザインに対して大きな影響を与えた.「モデル」と「デザイン」は両者は互いに裏と表のような関係にあるのではないだろうか.