往く夏を惜しむ

Iryo2008-08-31

朝晩はずいぶん涼しくなった.夏もそろそろ終わりらしい.

夏だけは「いく夏を惜しむ」という.秋も,冬も,春も惜しまないのに不思議だね.と,以前言った人がいた.遠くにいるのでもう会うこともないけれど,どこか懐かしく思う.

土砂降りの後,夕暮れの弱い光が曇の合間から奇跡的に差しだして,ビルの谷間だろうが,山の稜線向こうだろうが,水平線の彼方であろうが,そいう遥かむこうの夕焼け空をながめた後に自分が立っているこの場所を確認する.そういう風景の中に自分がいて,そのことにどこか頼りなくとも安心し,あれほどまでに強烈だった悲しみや鋭かった痛みが時間の中でだんだんと,何処かにしみこんでいくことをまた,不思議に思う.