三原村と大月町

大月町の町田さんのお誘いで,三原村と春遠など大月の集落を竹田さんたちと回ってきました.昨年の牧野植物園で稲垣さんたちと話したときに樹齢が150-200年以上の花の咲く木を探してマップを作ってはどうかという話もていたので,いろいろ見てきました.

三原村の山茶花は晩秋の今くらいから咲き始めます.品種改良を続けられた我々がよくみる園芸種の山茶花ととはずいぶん違ってて,自生種ですので,おしべとめしべが離れていて,蜜蜂などによく運んでもらえるように花びらが大きく開いてよい香りがしています.

樹齢を重ねた幹はとても大きく,村の中に樹齢100年を越えるような巨木が何本も目につきます.都会で見る園芸種である山茶花のカラーパレットのようなはっきりした色ではありません.白にところどころ桃色の入ったとても美しい花びらが一片々落ちていくのが目につきます.

資生堂の「椿」というシャンプーがありますが,あれは山茶花と同じ種である園芸種の椿油をつかっているそうです.山茶花の実は拾って湯掻き,棕櫚の袋にいれて,ゆっくりと濾せば,自家製の油が作れそうです.村の人たちと話していて,この美しい香りのする自生の山茶花で油をつくったら,おもしろいのではないかというような話をしました.

以前は,棕櫚の袋で濾した後の実は,ナイフで削ぎ落とし,子供たちや若い女性はシャンプーのように使っていたそうなので,シャンプーも作れるかもしれません.

廃校になった春遠の小学校です.このほかにもぜんぶで5校ほど回りましたが,風景美術館として再活用して宿泊施設や蕎麦打ち体験や芸術活動のような創るということに力点をおいた場所として再生していくようなこともできそうです.地区の意向がまずは大切ですが,集落単位で見るとなかなか手間もかかることもありますので,地域全体で廃校ネットワークを組んで,再生プランを考えていくのが確かにいいのかもしれません.
風景づくりとか風景遺産なんて言ってしまうと大げさでなんだかアレですが,今目の前にある風景を楽しむことが大切なのかもしれません.田舎は何もなくてすぐに飽きてしまうという人もいますが,東京だって何年か住めば同じようものではないでしょうか.どんなに忙しい日々であっても,目の前に広がっている風景とちゃんと向き合って,どこかに生活を楽しむ気持ちがあれば,そこから何か生まれてくるのではないかと思いました.